「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」ってご存知ですか?
昨年12月25日から開始され、1月に3回、4月に2回行われたモバイル市場についての会議です。
大手とMNVO(格安スマホ)が共存している中、どうすればいいのかを話し合うもので、6回目を最終会合としました。
今回は、検討会での内容と今後の予想について、分かりやすく紹介しますね。
目次
モバイル市場の公正競争促進に関する検討会とは?
by unsplash
とても難しそうな名前の検討会ですが、簡単に言うと「スマホを良くする会議」です。
平成29年12月25日から開始され、総務省内の会議室で行われています。
総務省が検討会を開催する目的は
- MNVO(格安スマホ)を含めたモバイル事業主の公正な競争を促進すること
- 利用者のニーズに合うサービスやプランを提供し、利用者利益を向上させること
難しい内容に思えますが、目的を見ると利用者である私たちの為にも、もっと良くしてほしい内容といえますね。
どうしても改正できない大きな問題なども多々あり、毎年持ち越してしまうテーマもあります。
ですが、大手キャリが低料金プランを提供するなど、少しずつですが進歩していますよね。
総務省の会議と言われると、一見、「無駄・難しい」と負の印象を持ちそうになると思います。
ですが、簡単に紹介することで、「実はユーザーにとっても良い検討会」だと興味を持っていただけると嬉しいです。
第6回の検討会で話し合われたことについて
最終会合となる第6回目の検討会では、第3章23種以上のテーマで会合が開始されました。
大手キャリアとMNVOがそれぞれの立場からの意見を言い、総務省が決断をする流れが主流です。
とても多い話の中、私たち利用者からみて重要なものだけを紹介しますね。
UQモバイルだけ優遇されていた?
話の発端は、第2回目の会合でケイオプティコムが独自に調査をした結果から始まりました。
ケイオプティコムが調査したのは、KDDIが回線が一番込み合う12時〜13時にUQモバイルだけ他社より高速だったというものです。
第3回目の会合でも、UQモバイルは料金は他社と変わらないが回線が圧倒的に早いと、トーンモバイルが主張しました。
第6回目になる今回もUQの回線速度について議論されましたが、UQ側が「月額1000円を下回るMVNOより高い料金にすることで環境を維持している」と伝えました。
優遇しているという批判に対し、KDDIも「他のMVNOと同様で平等である」と反論し、総務省の最終結論も「優遇の実態無し」と判断をしました。
回線貸出料金について
MVNOは独自の回線を持っていないために、大手の回線を借りています。
回線を借りるには回線貸出料金が必要となりますが、貸出料金の引き下げについても話し合われました。
引き下げる必要があると言った理由は、料金を決める算出方法の不透明さです。
不透明と言う事は、本当は高額で書いている状態になっている可能性があると言うのがMVNOの主張です。
この件に関して、大手は中長期的に引き裂け傾向であると反論をし、総務省の結論も「透明性を確保することが重要」ということのみで終わりました。
一見、事業同士の会話で利用者には関係なさそうな話ですが、回線貸出料金が下がると、コストが下がるために料金が更に下がる可能性があります。
しかし、貸しているのは大手なので安くする分回線を不安定にする可能性もあるので、利用者も気になる主張です。
利用期間拘束について
第1回目から話し合われている利用期間拘束についても話し合われました。
利用期間拘束とは、俗にいう「2年縛り」です。
自動更新されるため、ユーザーがウッカリ忘れてしまうと、また2年待つことになる厄介なルールでしたよね。
2年間契約することを条件に月々の通信料を安くしてもらっていましたが、この縛りが消費者の自由な選択を阻害していると総務省が判断しました。
大手キャリア3社に是正を求める方針を出しているため、今後、2年縛りが緩くなるか、もしくはなくなる可能性があります。
中古スマホの流通促進について
大手キャリア3社は、消費者が機種変更を行う際に下取りをします。
その下取りをした端末の多くは、海外の業者に転売していたようです。
もし、海外に転売するために国内への流通を制限しているとすると、消費者にとっては中古スマホを選ぶ選択肢は減りますよね。
総務省は「業務改善命令の対象にするよう、ガイドラインを策定する」と結論付けました。
もし、このガイドラインの策定により、海外への転売が減れば、調達に制限があったMVNOの端末もラインナップが今以上に良くなります。
日本のユーザーの約7割がiPhoneユーザーなので、ガイドラインによっては、Appleの品揃えもよくなるでしょう。
どうなる楽天!?2年縛りなどの是正への動きの裏には楽天が
通販サイトで有名な楽天が、MVNO側として検討会に登場したのは、第2回目からでした。
楽天モバイルとしてMNVO側の意見を述べていたのですが、その中でも2年縛りについては大手に牙を見せたようです。
回線料の引き下げなど、MVNOの意見は流されるものが多く見えましたが、2年縛りだけはMVNOの意見がしっかり通っていますよね。
その理由は様々だと思いますが、楽天の発言もあるでしょう。
「期間拘束契約の自動更新はMVNO移行への障壁であり、抑止されるべき」
「48か月割賦はお客様への縛りになっている」
楽天が発言したこの言葉は、確かにユーザーの不満でもあったので大手にとっては大打撃です。
その結果、是正をする方針になりました。
しかし、現在はMVNOですが、2019年10月に「第4の大手キャリア」、MNOに参入し、サービスを開始すると言われています。
つまり、今回大手に牙を見せたことで、大手に参入した時に楽天が後悔する可能性があるのです。
大手になった場合は発言通り、「自動更新はしない・契約解除料0円・データSIMであれば最低利用期間は0ヶ月、音声SIMは12ヶ月」にしなければなりません。
昔からあり安定している大手3社とは違う、新しいキャリアに入るのは勇気がいります。
しかし、2年縛りが是正されれば、機種変更のハードルも低くなるため、「駄目なら即解約」と考えれるようになり、利用者にとっては大きな問題はありません。
ですが、設備投資などで膨大な資金を使う事になる楽天は、MNOになった時、是正するよう発言したことでリスクが増えることでしょう。
1回目から話し合われてきた「2年縛り」に一番に食いつき、是正する方針まで持っていってくれたことはいいのですが、今後の楽天はどうなるのでしょう。
総務省の2年縛りへの方針、そして2019年から始まる楽天の動きに今後も注目です。